必要だった「遠回り」の時間:RAKUNECK誕生秘話

必要だった「遠回り」の時間:RAKUNECK誕生秘話

RAKUNECKが今の形になるまでには、数え切れないほどの試作と議論がありました。最初に描かれたアイデアは、より直線的でシンプルなデザイン。しかし、その案は実際に人の身体に当ててみると、硬さや冷たさを感じさせ、思ったような快適さを得ることができませんでした。そこから方向転換し、より有機的で曲線的なラインへと修正が始まります。

変更は一部に留まらず、全体のバランスや構造にまで影響を及ぼしました。ひとつ形を直せば、別の部分もそれに合わせて再設計が必要になる。デザインの微調整ひとつが、全体の再構築を求める。まるでひとつの歯車を動かせば機械全体が連動して動くように、RAKUNECKの設計もまた繊細な連鎖の中で進められていったのです。

その中でも特に苦労したのは、デザインと使い心地に対する感覚の違いを、関係者同士ですり合わせていく過程でした。デザイナーにとっては自然で美しいラインも、使う側にとっては角度が合わなかったり、フィット感にズレが生じたりする。だからこそ、言葉にならない「感覚」を何度も共有しながら、形に反映させていくことが求められました。そこに必要だったのは、時間と粘り強さです。

また、RAKUNECKではパラメトリックデザインという手法が使われており、形を数値で制御しているため、ひとつの変更が全体に大きく影響します。細部へのこだわりが、時には設計を複雑にしすぎてしまうこともありました。こだわりすぎたがゆえに、「もっとシンプルにすべきではないか」と自問する場面もあったといいます。それでも妥協しなかったのは、この製品が持つべき「気持ちよさ」が、人間の感覚に忠実でなければ意味をなさないからです。

初期段階では、RAKUNECKがどんな形で完成するのか、誰にも明確なビジョンはありませんでした。しかし、試作を重ね、意見を交わし、細かな修正を繰り返す中で、輪郭が少しずつ浮かび上がってきたのです。決して一直線の平坦な道ではありませんでしたが、その「遠回り」の中にこそ、この製品の価値が凝縮されています。

完成に近づくにつれ、チーム全体が共有する「この形なら届けられる」という確信も強まっていきました。RAKUNECKは、試行錯誤の先にあった「納得のいく答え」です。そしてその答えには、何度も立ち止まり、引き返し、また進んだという記憶が、静かに刻まれています。

ブログに戻る

ブログへのコメントや質問あればLINEしてください。

100%の確率で返信がくるクルマルシェのLINEです!「運転疲れるんですけど…」という相談お待ちしてます!コメントも嬉しいのでください!