「あと1mm」のために10回以上つくり直した理由:RAKUNECK誕生秘話

「あと1mm」のために10回以上つくり直した理由:RAKUNECK誕生秘話

RAKUNECKの開発は、見えないところへの配慮と、細部への執着が連続する日々でした。最初のデザインは、「首をしっかり支える」ことに全振りした仕様。大ぶりでクッション性も高く、支えとしての役割は果たしていたものの、シートとの一体感がなく、圧迫感も否めませんでした。飯泉雅俊氏は「当初は安心感を強調しすぎて、デザインとしての洗練さが欠けていた」と振り返ります。

そこから始まったのは、「支える」と「馴染む」のバランスを探る試作の連続でした。最も象徴的なのが、U字型カーブの角度調整。1mmの違いでフィット感が大きく変わるため、何度も修正を繰り返し、10回以上の試作を経てようやく「これだ」と思える形にたどり着いたといいます。その調整には、実際に座って覚える違和感や疲労度といった「感覚」のフィードバックが不可欠でした。

また、硬さと柔らかさのバランスも課題のひとつでした。柔らかすぎれば支えにならず、硬すぎれば長時間使用で疲れが出る。素材の密度を少しずつ変えて試作し、「包まれている安心感」と「自由に動ける軽快さ」の両方を実現する配合にたどり着いたのです。3Dデータ上での設計だけでは限界があり、3Dプリンターでミニチュアモデルを出力しながら、早期から形状と感触を検証する工夫も取り入れました。

この過程で重要な役割を果たしたのが、ユーザーのフィードバックでした。「厚みがもう少し薄ければ前に押される感じが減る」「蒸れやすいから通気性のある素材が良い」「固定方法がズレにくければ安心できる」といった声を真摯に受け止め、RAKUNECKの設計は次々と見直されていきました。最終的には、通気性と肌触りを両立するメッシュ素材を採用し、滑りにくいシリコン付きの支柱固定式を選択。現場の声が、製品の精度を大きく高めてくれたのです。

飯泉氏自身も、完成品を初めて使ったとき「ここまで違うのか」と驚いたといいます。首がしっかりと支えられている感覚が自然に伝わり、運転中のリラックス度合いが明らかに変化する。これまで当たり前のように感じていた運転後の首・肩の疲労感が、確実に軽減されていたそうです。

RAKUNECKは、派手な機能を搭載しているわけではありません。しかし、「小さな違和感」を見逃さず、「あと1mm」を妥協せずに向き合ったからこそ、今の完成度があります。日常をほんの少しだけ快適にするための設計には、想像以上にたくさんの決断と工夫が詰まっているのです。

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