湯川氏が教える「合っていないクッション」が疲れを生む理由:RAKUNECK誕生秘話
RAKUNECKの開発において、最もこだわった要素のひとつが「ヘッドレストの位置調整機構」でした。湯川国俊氏は言います。「いくら良いクッションでも、正しい位置にセットされていなければ意味がない」。この一言には、彼が長年リハビリ現場で向き合ってきた「慢性的な首の不調」と、その原因に気づかずにいる人々への警鐘が込められています。
首や肩の疲労がなぜ起きるのか。その根本にあるのは「支えの不在」です。車の運転中、人は頭の重みを無意識に首と肩の筋肉で支えています。しかも、加減速やカーブ、路面の凹凸といった外的要因によって、頭は揺れ続けるのです。このときクッションの位置が少しでもズレていれば、支えるべきポイントから外れ、筋肉に余分な力が入り続けることになります。その積み重ねが、運転後のだるさや首こり、さらにはめまいや吐き気などを引き起こすのです。
湯川氏の整体メソッドでは、「ピンポイントで支えるのではなく、頭の荷重を分散させる」ことが重要視されます。RAKUNECKはその思想を反映し、首・後頭部・頸椎にまたがる広範囲で体圧を分散させるU字構造を採用しています。この構造により、頭の重みは一点に集中せず、肩や腰にまで伝わる「負担の連鎖」を断ち切ることができるのです。
また、ヘッドレストの適切な位置合わせは、「姿勢の自動修正機能」とも言えます。位置が高すぎれば首が後傾し、低すぎれば頭が前方に垂れ込み、どちらも猫背を促進する原因になります。湯川氏は、これを「隠れ猫背」と呼びます。意識せずに姿勢が崩れ、首や肩の筋肉が過緊張に陥ることで、疲労が蓄積しやすくなるのです。
さらに見逃されがちなのが「車酔いとの関係」です。湯川氏は「首と頭の安定性が失われると、平衡感覚を司る神経が乱れやすくなる」と指摘します。特に揺れに敏感な人や高齢者は、頭がグラつくことで自律神経が過敏に反応し、酔いやすくなる傾向にあるそうです。RAKUNECKのフィット構造は、そうした「揺れに弱い人」を静かに支える仕組みでもあります。
湯川メソッドがRAKUNECKに与えてくれたのは、「快適さの答えは、人間の構造の中にある」ということ。見た目ではなく、骨や筋肉が感じる「内側からの整合性」こそが、本当の快適さを決定づける要因なのです。